こんにちは、chikiです。
私事により連載をおやすみいたしましたことを最初におわびいたします
再開に先だちまして、第6回でご紹介した、ワンダーフェスティバル2010[冬]のガイドブックに掲載された弊社代表伊藤のインタビュー記事を、2回にわけて転載いたします。
転載をおゆるしいただいた日本弁理士会さまに、まず感謝申しあげます。
それでは、どうぞ!
著 作 物 の
ワンダーフェスティバルは当日版権という著作権に基づいた制度を採用していますが、一方でクリエーターとコンテンツホルダー(著作権者および著作権管理者)との間には、立体造形化の申請とその許可、不許可という限られたコミュニケーションしかありませんでした。この企画は、立体造形に対し、または当日版権というシステムに対し、コンテンツホルダーがどのような考えを持って当日版権の審査を行っているのかをすこしでも掘り下げてみよう、という考えの下で生まれました。今回のゲストは、キャラクター『初音ミク』のコンテンツホルダーである、クリプトンフューチャーメディア株式会社の伊藤博之さんです。
日本弁理士会:今回はインタビューを受けていただき、ありがとうございます。さて、巷では『初音ミク』が社会的現象と言えるほどの認知度を得るようになっています。『初音ミク』の出発点はなんだったのか、お教えください。
伊藤:弊社は「音で発想するチーム。」をスローガンに、サウンドに関連する様々なソフトウェアやサービスを提供してきた会社です。2007年当時は、特にパソコンで生楽器の音色をシミュレートする分野に力を入れておりまして、人の歌声を合成するヤマハ株式会社の「VOCALOID」技術にも早くから注目しておりました。
そのような中、「声優さんの声で歌声を合成できたら?」という好奇心を出発点として、また「歌を歌うソフト」という当時としては異色のコンセプトを分かりやすく伝えるためのキャラクター性の付与など、様々な検討を重ねた結果生まれたのが「キャラクター・ボーカル・シリーズ」の第一弾である『初音ミク』です。
<http://www.crypton.co.jp/vocaloid/>
日本弁理士会:しかし、クリプトンさんがDTM(デスクトップミュージック)ソフト『初音ミク』を出される前にもボイスサンプリングソフトは存在したということですが、これだけファンを増やした貴社VOCALOIDのキャラクターの魅力はなんなのでしょうか。
伊藤:『初音ミク』は、従来の合成音声よりも「生々しい声」をもちました。この声は、ロボットのようなキャラクターよりも美少女の姿をした人間に近いキャラクターに高い親和性がありました。従来のボイスサンプリングソフトでは「キャラクターを設定する」という試みが積極的になされてこなかったのに対し、キャラクター性の付与という点において、これが良い方向に作用したと考えています。
また、自由度の高いボイスサンプリングと、キャラクターを操ってオリジナルの歌唱・音声を伴う作品を発表するという行為自体が、『初音ミク』が発売された2007年8月当時にあっては大変センセーショナルなことでした。これが創作意欲の高い、あるいは情報感度の高い皆様に注目され、インターネットネットメディアにも取り上げていただいて脚光を浴びたことが、広くご支持をいただくことにつながったのではないかと思います。
(つづく)
(知規)