こんにちは、chikiです。
今回は、「二次創作におけるケンリシャ」には、みなさまクリエイターご自身もふくまれます、ということをお話しします。
まずは、こういうケースを考えてください。
Aさんは、権利者から許諾をもらうことなしに、Aさんの好きなキャラクターの絵を、
Aさんなりの工夫をかなりして描いて、それをホームページで発表していました。
ところがある日、Aさんは、全然知らないBさんが、自分の絵を、「わたしが描きました」と
いって発表しているのをみつけてしまいました。
AさんはBさんに抗議しましたが、Bさんは相手にしてくれません。
ネットでは、たまにあるようなケースですね。
さて、法律ではこういう問題はどうなるでしょうか?
ポイントは、Aさんが絵を描いたときに、権利者の許諾をもらっていないことです。
著作権法の先生では、こういうときは、たとえ許諾がなかったとしても、Aさんが自分なりにかなりの工夫をしているわけですから、その工夫した部分についてはAさんがまもられる、と考える人が多いようです
つまり、出るトコに出ればAさんの主張が通ります。これは、みなさんも納得しやすいのではないでしょうか。
だけど、「いくら工夫しているとはいっても、もとにしたものがあって、それを無断で描いたものをまもる必要はない」と考える先生もいらっしゃいます。これも、なんとなく納得できるように思われるでしょう。
じゃあ結論はどっちなんだ。
これ、実際に裁判してみないとわからないんですよ。
これまで、そういう裁判の例が、ないんです。だから、どっちが勝つかはわからない。
それって、あんまり安心できませんよね。
だけど、ちょっと考えてみましょう。
上の例は、権利者の許諾がないことが問題になっていました。
とすれば、キャラクターの権利者があらかじめAさんに許諾していれば、このときはいつもAさんが勝ちます。
「ケンリシャであるクリエイター」が、こういうかたちでまもられていれば、二次創作とかCGMはうまく回っていきそうです。クリプトンがPCLをさだめている理由のひとつがこれです。
そうはいっても、「いや、そんなこと大した問題にはならないから」という声が聞こえてきそうです。たしかに、こういうことは法律よりもマナーや常識で解決できそうな問題です。
でも、例えばBさんが外国の人だったらどうでしょう?
日本のサブカルチャーがいま世界的に注目されていて、インターネットを介して二次創作も日本国外でひそかな人気となっているいま、ありえなくはないケースです。
それでマナーや常識がちがうということになると、ここで法律の出番になります。
そのとき、「Aさんは無断で作品をつくったから、法律ではまもられない」という結論になったとすると、さすがにこれは、みなさん納得できないのではないでしょうか?
このインターネットとCGMの時代に、たとえ二次創作であってもクリエイターでいる、ということは、こういう事態をかんがえなければならないということでもあるのです。
それが、「みなさまもケンリシャなのです」とchikiが申し上げたことの意味であり、「ケンリシャいったい何者だ?」という問の答のひとつでもあるのです。
次回は、こうした「パクリ」の問題について、もう少しおはなしします。
それでは、また!
(知規)