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【chikiの著作権のおはなし 第17回】 第2章 エルロック・ショルメの憂鬱(5)

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 こんにちは、chikiです。

 もうすぐエイプリルフールですね!
 最近は企業サイトでも、エイプリルフールにいろいろな企画を用意することがずいぶんふえてきました。でも、クリプトンはどうもそういうことが苦手のようで・・・
 chikiもちょっとかんがえてみたりしたのですけれど、やっぱりむずかしいです。

 さて、前回は、キャラクターが「よくわからないなにか」とされることの意味をご説明しました。でも、クリプトンが用意している「キャラクターの説明」はもうひとつある。その理由が、今回のおはなしです。

 「キャラクタービジネス」ということばがあるように、現代ではだれもがキャラクターをつくって、それを使って商売をすることができます。
 でも、一生懸命工夫して売り出し、人気の出たキャラクターを、ほかの人にうばわれて勝手につかわれては、商売なんてできません。だから、そういうことができないように、法律をつくってキャラクターをまもる必要があります。これは、第1章でおはなししたことですね。
 で、問題は、「法律でまもられるキャラクター」というのはなんだろう、ということです。

 「よくわからないなにか」なんじゃないの?
 いままでのおはなしの流れなら、そう思われるのがふつうですね。
 でも、それだと、とてもこまったことが起きてしまいます。

 たとえば、「キャラクター:初音ミク」は「長い緑色の髪の毛を左右にわけた青い目の、歌が好きな女の子」とか「ポップでキュートな歌声で歌う女の子」とかのイメージがあります。
 逆にいうと、こういうイメージのものを見たときに、「これってミクかな」と思うことができます。
 それじゃあ、「こういう女の子のキャラクターのイメージ=よくわからないなにか」を「初音ミク」ときめて、クリプトンに権利を与えてしまったらどうなるか。
 これはちょっと、権利としてはつよすぎますね。

 ミクとは全然関係ないつもりで、緑色の長い髪の毛の女の子を描いたら、「それ初音ミクだろ!著作権侵害だ!」ってまわりから言われる。
 小説に「ポップでキュートな歌声で歌う女の子のキャラクター」を書いたら、「それ初音ミクだろ!著作権侵害だ!」ってまわりから言われる。
 こわくておちおちイラストも小説も書けやしません。

 それにそうなってしまうと、反対にわたくしたちクリプトンだって困ります。
 過去にわたくしたちの知らないところで、誰かが「ポップでキュートな歌声で歌う女の子」のキャラクターを作っていたかもしれない。
 いつクリプトンも「著作権侵害だ!」って言われるかわかりません。
 やっぱりこわくて製品なんか出せません。
 これじゃあ、創作なんかできるひとはいなくなってしまいますね。
 「よくわからないなにか」としての「キャラクター」に権利を与えてしまうと、いったいなんのためにそうしたのかわからないことになってしまいます。

 そのため、法律は「よくわからないなにか」としてのキャラクターのうち、

「ここに権利があれば、安心してキャラクターのビジネスができるよね」
「ここをこうしておくと、他の人は怖がらずに新しい創作ができるよね」



ということを決めているのです。

 さて、ここでもう一回、わたくしたちが「PCLで」キャラクターをどういう風に説明していたか、みてみましょう。

第1条(定義)
2. 本ライセンスにおいて、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) 「キャラクター」
その存在を他と区別するために、名称を付与され、その他音声、外見、性格等によって
特徴づけられた抽象的概念を表現するために創作された、絵画の著作物をいいます。

 もうおわかりかもしれません。
 この文章が言いたいことは、こういうことです。

 このPCLで「キャラクター」といえば、「キャラクター:初音ミク」のうち、「著作権」でまもられる「イラスト」のことだよ。
 でも、それだけが「キャラクターの全部」じゃないけどね。

 でも、まだわからない。
 なんで「キャラクターのイラスト」がまもられるの?
 イラストのない小説のキャラクターはどうなるの?

 そうですよね。
 その謎は、次回に挑戦しましょう。
 それでは、また!

(知規)